「ナンパ攻防戦!」

ショウ サンプルストーリー 使用台詞セット:S-01



あたし、自分はナンパには絶対引っかからないって思ってた。
そう、自分を信られるぐらいしっかり者だし、ナンパされるタイプじゃないと思うのよね。
結構マジメで通してきし。

今日は友人が待ち合わせ場所に指定してきたのは恋人同士も待ち合わせるので有名なところだった。他の場所がよかったんだけど、あんまり街に出ないあたしに判る場所は少なくて…
だけど待てどくらせど友人は姿を現さない。メールの返事も電話も繋がらない。
あたしはちょっと不安になってしまった。だってさ、一人でどこかの店に入るのもやだし、せっかくおいしいもの食べようって思ってたのに。どうしようかなぁ…帰ろうかな?

「どうしたの、そんなところに1人。待ち人来たらず、って所?そのまま突っ立ってたら、他のおにーさんから喰われちゃうよ?」
いきなり話しかけられた!
ちょっと離れたところにいたスーツのお兄さん。やたら綺麗な顔してるなって思ったけど、近づかれて警鐘が鳴る。あ、遊び人警報だっ!
「そんな、あたしは食べてもおいしくないですからっ!食べられたりしません!!」
「あはは!おもしろいこというね、食べやしないよ。でも遅れてるんでしょ?ちょっと話でもしない?あ、別にどっかに連れ込もうってわけじゃないから安心して。俺もね、待ち人気来たらず、なんだよね。」
人の警戒心を解くには十分すぎるほどの笑顔。なのにすんなり断れない押しの強さ…
ちょっと怖くなってしまった。
「で、でも…」
後退りして逃げる体勢に入っていた。こんな場合は逃げるが勝ちってね。なんか敵いそうにないんだもん。普通世に聞く軽いノリのナンパとも違うみたいだし、おつむの軽そうなそこらのお兄さんとも違うみたいで…ちゃんとスーツ着てるし、仕事帰りみたい…
「待ってって、そんなに怖がらなくてもいいよ。それともあのあたりのおにーさんに声かけられるのこのまま待つ?」
「ま、待ちませんっ!!あたしは…」
「あはは、嘘だよ、ジョーダン。ごめんって。キミ面白い子だなあ。」
目の前で大受けしてる…でも、なんかヤバイですよ、この人。だって、なんでこんな女の人に苦労してなさそうな人がナンパしてくるの?
「ね、なんなら目も合わさなくてもイイしさ?ちょっと暇つぶしに話だけ付き合って?」
一通り笑い終わった彼が目尻に皺寄せて聞いてくる。話しだけなら…イイかなって思ってる自分が居た。
「…じゃあ、下向いててもいいなら…話ししてもいいです。」
あう…ほんと、断れない雰囲気…
「あぁ、別に構わないよ。ただ耳と話す方向は俺の方向いててね。」
このあたしが…ナンパさんの相手してるの?
ま、まさか、この人、宗教勧誘?コレが噂の信者への道だったりして、ナンパじゃないかも?
「あの、何の話するんですか?まさか…勧誘とか、宗教とかじゃないですよね??」
「ああ、勧誘とかのが良かったかな?生憎ふつーのそこらのおにーさんなんだよね。俺もちょっと人待っててさ。ってか、名前だけでも教えあわない?勧誘だったらこう丁寧じゃないでショ?俺はショウ、キミは?」
「……奈々です。」
「奈々ちゃんか、よろしくな!で、奈々ちゃんずっとここで待ってるのって、誰?トモダチ?それともカレシ?」
「そんな、カレシなんかじゃないです。えっと、友人を待ってたんだけど連絡付かなくって…久しぶりに時間できたから、一緒においしいご飯食べようって言ってたのに…」
「あ、そーなんだ。ほら、ここって待ち合わせの名所だからさーてっきりカレシでも誰か待ってるかと思ったんだけど。さっきから来る気配もないし?女の子一人でこんなとこでずっと待ってたら危ないなって思ってたんだよ。せっかくおいしいご飯食べに来たのにね?」
「はう、食べに行けそうにないです…おいしいところはいつもトモダチ任せだから、お店とかよく知らなくて…帰ろうかなぁ…」
「それじゃあ、俺がおいしい店紹介してあげよっか?」
「ほんとですか??うわぁ、じゃあ教えてください!トモダチが来たらそこ行きます。」
「ね、キミは今おなか空いてないの?」
「えっと、空いてます…」
「よし、じゃ、決まり。付いておいで、とびっきり上手い飯食わせてやるよ」
「え?でも、あたしもトモダチが…それにショウさんの連れの方が来られたらどうするんですか???場所教えてもらったら自分で行きますからっ…」
「そこさ、すっごくわかりにくいとこにあるんだ。一人で行けないよ?その代わりすごくおいしいトコなんだ。それに連れっつっても、男だし。連絡入れておくから気にしなくていいよ。野郎と飯食うならカワイイ子と食事した方が飯も上手いの。それにもう日も暮れてる街で1人でぷらぷら歩きに出るんデスか?アナタは。それこそどっかのおにーさんに掴まるんじゃない?」
「どっかのおにーさん?」
「そ。向こうのスクリーンビジョンの下にたむろってる怖いお兄さん達みたいなヤツらな。」
そこにはヤンキー座りしたおにーさまがたが…こ、こっち見てる?
「ひゃぁ、それは困ります!!」
「そうだろうね、俺もせっかく知り合えた子をこんな街中に放り投げる主義は無いんで、俺も困ります。そんなに気になるなら、その友達も後で来れば良いでしょ?俺の連れも来るかもしれないし。友達には連絡取れそう?」
「電話ないです…あ、メール来てる…ええっ!来れないって…うそっ」
「そっか〜。じゃ、まあ奈々ちゃん1人になっちゃうけどイイよな?その分しっかり守ってあげますから。」
「は、はぁ…でも、守ってもらわなくても、大丈夫ですよ?あのあたりのおにーさんが来たら、ダッシュで逃げますし?」
そう言った途端ぐいっと腕を引っ張られた。
「ほら、こんな細腕で男に勝てると思ってるの?ほら、男は怖いよ〜?それなら近くの男に頼りなって。さしずめ、俺なんかどう?
怖いのは男なのか、ショウさんなのか…?
「いえ、あの、手…あの…は、離して下さい〜〜!」
「コレは奈々ちゃんが転んでケガないように人質。ホラ、付いておいで。」
「こ、転びませんてばっ!!だから、あの…離してクダサイ」
「ん?じゃイーよ?はい。迷わないように俺について来てね。俺足速いから。」
って手はなされてから、ホントにはやい??
「あの、どこなんですか?ってえ?あ…まって、」
目の前を気にせず歩くショウさん。なんでこんな人混みであんなにスイスイ歩いていけるの?あたしはというと人にぶち当たってばっかりで、ドンドン遅れていく。何で都会って、人が、こう多いのよぉ!
「あのっ、シ、ショウさん???」
「奈々ちゃん?人にばっかぶつかってないでちゃんと付いておいで?」
振り向いた顔が少しにやって笑ってるみたいだった。いじめっ子みたいだ…
「あう、そんなむずかしいことっ…」
無理なんだってば…あたしって、ほんと街中嫌い…
「だから言ったじゃん?近くの男を頼りなって。強がりだね、ごめんごめん、泣かないで。ほら、手。もうすぐだからさ、行くよ?」
泣いてたわけじゃないけど、泣きそうな気分だった。それから再び手を繋がれてしまった。一瞬見たんだけど、すこしごつってしてる男の人の手…
初めてあった人と手繋いで歩いてる…なんなの、今日のあたしって?

連れて行かれたのは創作料理のお店で、2階にあがっていって、普通じゃ絶対判らないところだった。訳のわからないMenuからオススメを注文して貰って、ショウさんの連れの人は結局来なかった。
「お、おいしいです!!」
料理はすごくおいしくて、あたしはおいしいを繰り返して感動してた。
あたしって食べ物につられた子どもみたいだ…すっかりうち解けていろんな話ししちゃってる。
ショウさんは25歳で会社員だって。営業をやってるらしい。あたしはまだ学生だから、そんな会社の話聞くのは楽しかった。そろそろ就職活動もしなきゃならないしね。
「それにしても、よかったな、俺が居て。」
デザート、ショウさんの分まで貰っちゃって、あたしはご機嫌だった。
「はい、なんか得した気分ですね。すっごくおいしくって…」
「そ。そういう食べっぷりみてると俺も得した気分だよ。」
「実はあたし、一人でお店にはいるの苦手で、本当にたすかりました。」
「そ?俺結構1人で来るけど。ほら、ここ都会にあるくせに田舎くさくて落ち着けるだろう?マジ料理は上手いからね。」
「そうですね、じゃあ、馴れたら、一人で来れるよう練習してみます!!」
「じゃ、慣れるまで俺と来る?」
「え?」
そんなにっこしわらわれても…
「ん?」
あたしは思わずショウさんの顔をじっと見てしまっていた。
「なあにそんなに俺を見ちゃってるんだよ。そんなに潤んだ目で見つめちゃって。どうした?ん?」
「み、見つめてません!!」
きっと今顔が真っ赤だ。

結局は奢りで、お店を出て駅に向かって歩き始めていた。
「ゴチソウサマデシタ。あの、ショウさんって、よくこうやって、初対面の人御飯に誘ったりするんですか?」
「ん?んなことないよ。誰でも誘ってたら破産デスw俺そんな人よくねぇし。奈々ちゃんはさー、なんつーかこう、『寂しい』っつー顔してたからかな?」
「え?あたしが?」
「そ、だから誘ったんだ。」
「でも、イイお店教えて貰って、その上奢って貰っちゃって…なんか申し訳ないです。」
「いいよ、俺が誘ったんだから。気にスンナ」
「いえ、気にします。だってあたし、そんな奢ってもらうつもりじゃなくって…ほんとに、」
「ホンット意地っ張りだね。そういうところ可愛いけどさ、ほら、お兄さんには素直に奢られておきなさい。あとでナニかもらうとかしないから。」
「え、でも…じゃあ、なんか代わりにおごらせてください、それでおあいこで!」
「わかったわかった。じゃ、そのときになったら頼むわ」
「え?そのときって?」
「奈々ちゃんに奢ってもらおうと思った時?」
なんかニヤって笑った気がしたのは気のせい?
「ショウさんって、女の子が喜びそうな所、いっぱい知ってそうですね?」
「そ?気になる?ってか、もしそんな術持ってたら奈々ちゃんのほかにもいろんな子誘ってると思うんだけど、俺」
「え?いや、あの、慣れてらっしゃるので彼女さんとかとよくるのかなって、素朴に思っただけで…」
「あぁ、俺彼女居ないし。彼女と来ると思った?」
「え〜嘘でしょ?だって、彼女いそうだし…」
一般的に見てもカッコイイよね?この人…
「ん?マジだよ、俺いねぇよ。なに、奈々ちゃん誰か紹介してくれる?」
なんか一瞬、胸が痛くなった。あたしが、紹介するの?やっぱりそう言うのが目的なのかな…
あたしあんまり可愛くないから、あたし繋がりで女子大生を探す気だったのかな?
「紹介、ですか?どんなタイプがいいですか?あたしそんなにたくさん友達いなくって…」
「奈々ちゃん自身は紹介してくれないの?」
「はい?」
どきっとした。冗談だってわかってるけど…
「ははっ!人の幸せの前に自分の幸せだろ?」
あたし、焦ってしまった。だって、あたしだよ?そんな、釣り合わないのに?
「あ、あたし紹介してどうするんですか?だって、あたし、よく食べるぐらいで、あんまり楽しくないし…」
「じゃ、奈々ちゃんに誰か紹介してあげようか?俺は女の子が美味いもん食べてる幸せそうな顔が好きだけど?見てるだけでも楽しいし。」
「いえっ、いいです!!あたし、そんな紹介とかも苦手て…」
もう、なに?こんなやりとり慣れない!!
「ははっ、逃げない逃げない。何事も一歩の勇気が肝心だって言うだろ?大丈夫さ、奈々ちゃんは。だから、さしずめ、俺なんかどう?」
「うっ…」
ニヤニヤ笑ってるショウさんの顔が少し近い。のぞき込まれてあたしは目をそらしてしまった。
「あの…ショウさんにはもっと綺麗な人とかあいそうだから、あの、そんな、あたしなんか、その、だめですよ。あたし、ホンとに男の人とまともに付き合ったことなくて、た、楽しくないです、きっと。」
「ふうん、綺麗な人、ねぇ?でも結局選ぶのは俺自身でしょ?そう決め付けてるのは奈々ちゃんだけだと思うけど?」
「それは…」
「経験アル、ナシ、関係ないよ、奈々ちゃんは、俺には興味ない?」
「え?興味、ですか?」
「そういう決めつけだと、俺の心臓傷付くんだけどなあ?俺は奈々ちゃんの幸せそうな顔に興味あるけど?」
もしかして、やっぱりあたしってナンパされてたの?これって、口説かれてるの?
「あの…イイヒトだなって、おいしいとこ教えてもらって、ご馳走になっちゃって…」
「うん」
「あたし、こんなにたくさん男の人と話したのって、初めてで…」
「だったら、今ある現実もうちょっと信じても罰は当たんないと思うけど?」
「そ、そうかなぁ…なんか不思議、そんな気になってくるじゃないですか…」
「不思議なんじゃなくって、それが奈々ちゃんの本心なんです。」
「え?あたしの本心って??」
「そ、気がついてない?奈々ちゃんの心そのまま読んだだけだけど?じゃあさ、こうしよっか。さっき奈々ちゃん俺に何か奢ってくれるって言っただろ?」
「あ、はい、奢らせてください!」
「今度お互い空いてるときに会ってさ今度は奈々ちゃんが俺になにか奢ってよ。」
「はい、いいですよ。でもおいしいお店とか、あたししらないです…」
「はは、ご飯は俺が奢るよ、そのかわり今度俺が奢って欲しいもの奢って。」
「はい、でもご飯以外に何おごったらいいんですか???」
「んー、それは今度まで取っておくわ。楽しみが減るだろう?じゃ、とりあえず一応名刺渡しとくな?裏にプライベートの番号とメアド書いてあるからさ。いつでもかけておいで。」
プラットフォームで名刺を渡されて、あたしはそれをポケットに入れた。
「ほら、そろそろ電車くるぜ」
「あ、それじゃ、ご馳走様でした。」
そう言って電車の入ってくる方を見ようとした途端腕をとられた。
「今日は楽しかったよ、ありがと。またね」
って思いっきり耳元で囁かれた後、滑り込んできた電車に押し込まれた。
「はっ、はい?」
あたしまた真っ赤になってる…?最後におっきな声で叫ばれた。
「転ばないよう、気をつけて帰れよ」
「転びませんってば!!!」
最後の言葉ですごく気持ちが軽くなった。

あぁあ、ナンパされちゃった?
電車の中でありがとうございましたってメール打てるあたしって…
完全にひっかかっちゃったみたい…


=後日談=
「奈々、待った?」
「あ、いえ、大丈夫です。」
「さて、今日はどこに行こう?」
「そうですね〜、ショウさんは何が食べたいですか?」
「俺?奈々が食べたい。」

しっかりと堕ちてた奈々でした。
ショウが何日かけて落としたかはまたのお話w

bykeikuishinbo

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